封建的または独裁的国家においては、既に強固な政権側・体制側のグループ主義根付いてしまっているため、これを解除するには、Ⓐ外部、つまりすでに民主化された外国からの経済的・地域的・武力的影響もしくは、Ⓑその強固なグループ主義に対抗できる別のグループ主義がなければ非常に困難で、不可能に近いものがあります。

人は集団化の傾向の強い動物のため、いくら優れた社会的システムを提言したとしても、グループ団結を強く誘引する利益的・他排的なものがなければ、そのシステムに賛同する者が多くとも前進しないと言うことです。

他国の影響を介さない場合、別のグループ主義の力を頼らないと既存の強固なグループ主義を壊すことはできません

つまり、よりましなグループ主義への移行により、強大で固定的なグループ主義革新するというものです。

これをグループ主義移行論とします。

しかし、新しい別のグループ主義の力を借りると改革は変質してしまいます

またその当時は新グループ主義旧グループ主義より、格段にマシに見えても、後に巨大に解決困難問題発展する可能性は否定できません 。

 

このパラドックスを覆すには客観的評価システムが極めて有効であることはイギリスの近現代史を見ればわかります。

しかし、必ずしも 適した客観的評価システムが存在しているとは限りません。 無い場合が多いといえます。

民主主義のような社会的大改革を行う際には、グループ主義移行論が適応してしまうことがほとんどで、その別のグループ主義の負の要素を背負ってしまいます。

〇イギリスにおけるジェントルマン資本主義における不労所得指向階層の二極性の負の要素

〇アメリカにおけるカルバン派の教理から派生した資本主義万能論自由放任主義の負の要素などです。

カルバン派は資本主義を媒介に、民主主義を生み出した最大の功労者であると同時に、資本主義の欠点とされる環境破壊・恐慌・戦争など現代の世界危機を生み出した大きな要因の一つとなってしまっています

では、社会的大改革を行う際に、既存のグループ主義を別のグループ主義に移行させて、また別の問題を発生させるのではなくて、グループ主義自体を減少させることはできないでしょうか?

同じプロテスタントでもカルバン派ルター派は性質が変わってきます。

グループ主義移行ではなく、グループ主義自体を減少させる解決策を考えるにおいて、ルター派諸国の近現代における歴史が非常に参考になります。

民主主義の基盤となる平等思想と各個人の判断による決定(自決思想)の考え方が根付いている中、近隣国イギリスなどの成功例によって、民主主義化が国力増大させることの確証が与えられたことによって、民主主義改革がグループ主義移行を顕著に伴わないで、既存のグループ主義を縮小する方向性で進められました 。

これは民主主義だけでなく、民主主義のような社会的大改革がグループ主義移行を伴わずに、グループ主義自体を減少させる大きな鍵となります。

グループ主義移行が必要ないとなると、次世代におけるグループ主義による新しい問題を背負わなくていいのに加えて、改革自体も平和裏に紛争・対立が少ない中でスムーズに行うことができます。

しかし、そのためには近隣に改革による成功例と改革を行う場において改革の基盤となる考え方が全般的に根付いてなければならないという二つの条件が必要不可欠となってきます。

 

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