今回の事業会社への出資上限を原則5%(持ち株会社では15%)としてきた規制も緩め、地元産品の販売など地域経済に寄与する非上場企業には100%出資を可能とする銀行法改正は、今後の日本の将来において途轍もない影響を及ぼすと思われます。
場合によっては戦後改革の大半のプラスの要素を無効化し、現在の韓国のような大企業・財閥が支配する不活性で脆弱・破綻しやすいかつ外国資本による経済的植民地状態にさらされる可能性があります。
現在の韓国は正に、戦前の日本の状態と類似しています。
銀行等の金融資本を核とした財閥のグループ主義的利益追及の暴走からの腐敗・貧困からの軍部台頭そして太平洋戦争に繋がったように、韓国でも同様に財閥のグループ主義的利益追及からの腐敗・貧困により、大統領経験者は必ず訴追され、経済的破綻を繰り返すなど苦境に常にさらされている状態です。
日本が奇跡的発展を遂げたのは財閥解体により、活発化した経済の下、中小企業(本田技研・京セラなど)が活躍し、成長していったたためです。
アメリカの経済が1990年代から奇跡的復活をしていったのも中小企業支援策の下、新しい中小企業(グーグルやアマゾンなど)が次から次へと誕生し、成長していったからです。
ドイツの経済が強いのも、各地方に広範囲に育成された熟練した技術者がミッテルスタンドと呼ばれる技術水準の高い中小企業を形成しているからです。
ミッテルスタンドは大半はものづくり企業であり、ドイツ経済のエンジンとも言われ、ドイツの稼ぎ出す貿易黒字の七割を占め、ドイツ経済を文字通り支えています。
ニッチ分野で世界をリードする技術と品質を 培い、高付加価値製品の国内生産維持して、充実した対外経済の国家的支援もあって、グローバル市場での存在感を高めて行き、大企業の下請けではなく、自立・独立したビジネスモデルを堅持して行きます。
財閥支配が著しいフィリピンは、戦前では東洋一の文明国といわれ、日本よりも豊かな状態にあり、日本人が仕事を求めて、フィリピンに多くの人が移住し、一九四〇年には在留日本人は三万人に達していました。
地理的には台湾(中小企業王国といわれる)に近接している位置にありながら、現在では「アジアの病人」といわれ、一人当たりのGDPでは台湾の十分の一程度しかありません。
中小企業が死に体で大企業が支配する経済は不活性な共産主義的経済にほぼ等しくなってしまいます。
それは多くの歴史的事象が証明しています。
それなのになぜ経済政策が大企業優遇的になってしまうのか?
ひとえにグループ主義的癒着構造に他ありません。
この改正がコロナで停滞した経済の活性化をお題目に、簡単に通されたことは正直信じられない気持ちです。
たくさんの苦難・犠牲を経て実行された戦後改革により、ここまで豊かになった日本が韓国やフィリピン化してしまう未来は絶対に見たくないと思います。
では私たちはどうしたら良いのでしょうか?
この銀行法改正による影響が発現する前に、大元である癒着構造にメスを入れる必要が有ります。
大元である癒着構造が改善されれば、自然と銀行法改正の改正が進むと思われます。
銀行法改正による影響が発現してしまうと、さらに癒着構造が強化され、巨大且つ複雑化したグループ主義体がさらに格段にレベルアップしてしまい、手が付けられなくなります。
では大元である癒着構造を改善つまり、グループ主義を制御するにはどうしたら良いのでしょうか?
その改善策はグループ主義を制御する役割を持つ客観的評価システムを整備することに有ります。
集団欲とそれを制御する客観的評価システムというものが人類社会にどう深く影響を与えてきたかを、人類の成り立ちから考察していきます。
鋭い牙も爪も持たない人類が他の大型獣に打ち勝って生存できたのは、集団を形成することで初めて獰猛で強靭な獣と拮抗し、凌駕する術を得たからで、その本能として集団欲が深く根付きました。
人類は肉食獣的な個々もしくは一家族を単位とするよりも、草食獣的な集団を単位として生存競争を潜り抜けて社会的動物であり、集団や群れこそ実態とも言えます。
外部に攻撃対象を置くことによって、集団は内部の結束を強めます。内部の結束を強めることでさらに外部への攻撃は強くなります。この循環を繰り返し、集団はより強固なものとなっていきます。
しかし、これらが原始時代の肉食獣など他の動物に対して発動するのならともかく、人類が長い期間をかけてこれらの敵に対してほぼ克服し、もしくは生存において優位な立場になった時、つまり人類の人口が大幅に増え、他の多数の動物の中の孤立した集団ではなく、人間同士の集団が接し合うようになると、人類の集団の攻撃対象は人類の集団同士になってしまいます。
人類の集団同士の争いの中、集団は村を、村は小国をそして公(おおやけ)としての国を形成していきます。
国を支配する一族やグループは当然、特権や利益を得又差配する権限を所有することになります。これらは主に武力によって獲得されたもので当然に他の別グループによって同様に武力によって覆すことも可能となります。
実際にそうやって長い間中国は王朝と王朝の間に何百年という内乱の時代を必然のように含有し、王朝時代期間内にも常に政権内の武力的な紛争を抱え込んで行きます。
グループ同士、集団同士の争いは当然に公(おおやけ)としての国の力を落とし、属する個の人々の不幸に直結します。
内乱の時代は人口が激減します。生存するのが極めて困難な悲惨な社会となります。
つまり、原始時代のように人口が少数でそれぞれ孤立した集団しかない時ならともかく、人口が増加して多数の集団が融合した公(おおやけ)が構築されると公(おおやけ)内の 利権を巡って、しかも公(おおやけ)全体の公益を蔑ろにしながら、集団同士が争う傾向が非常に強くなります。
これをを避けるためには、公益と個また公益と集団を直接リンクさせる特別な仕組みが必然となります。
その仕組みがないと 、人類の歴史上、極めて長期間生存本能として強く機能し、実際他の肉食獣に対して有効に役目を果たしてきた集団欲が、原始時代を脱した時代においては、個と集団を密接にリンクさせ、公と個、公と集団のリンクを蔑ろにしてしまう結果となってしまいます。
その仕組みが客観的評価システムというものになります 。
客観的評価システムというものには、公と個・集団それぞれと直接リンクさせていく働きがあるからです。
逆に言えば、客観的評価システムをしていくことが、グループ同士、集団同士の争いを制御し、国力を増加させることになります。
古代中世において東洋一の大国として巨大な統一国家を形成・維持した中国は科挙制度(詳しくはこちらをクリック)
古代中世の西欧において最大の繁栄を誇ったローマ帝国では補助兵を25年間勤めればローマ市民権が与えられた制度(詳しくはこちらをクリック)
近代世界の覇権国となったイギリスは民主主義から派生する政権党の政治に対して多数の国民による選挙における支持率という評価と政権を任せるという報酬制度(詳しくはこちらをクリック)
小国ながら世界最先進国となっている現代のシンガポールにおける官僚などの賞与と GDP 成長率とを連動させる制度(詳しくはこちらをクリック)
ドイツをヨーロッパ最強の近代国家の一つに躍進させ、日本をアジア最強の近代国家とさせたメリットシステム(詳しくはこちらをクリック)
英国病から脱出させた現代のイギリスにおける数値指標により業績評価・報酬をするエージェンシー制度(詳しくはこちらをクリック)などです。
では現代日本において、客観的評価システムの機能・整備度合を高めるにはどうしたらいいのでしょうか?🙄
特別会計制度や天下り制度廃止し、マニュフェストの提示と実施の厳守を法律化すると当然のことながら、「政治主導」の面における客観的評価システムの機能・整備度合を高めることができます。
しかしながら、言うが易し行うが難しです。😓
強固に確立された官僚を中心としたグループ主義体に間違いなく排除されます。
ではどうすれば良いのでしょうか?
簡単です。彼らにとってもプラス、公益にとってもプラスになる案を提示すればよいのです。😁
特別会計制度や天下り制度廃止し、マニュフェストの提示と実施の厳守の法律化により、公益と負の相関関係にあるような「官僚主導」の要素を縛ることは、公益にとって必要なことではありますが、現在のグループ主義化した官僚組織にとっては不利益この上ないことです。
その不利益をはるかに超える利益を官僚組織に提示すればいいのです。
つまり、シンガポールのように公益と正の相関関係にあるような「官僚主導」の要素を強固に添加していけばよいのです。
詳しくは官僚こそが最も優遇されるべき存在(こちらをクリック)という記事で述べていますが、政策分野の人々は、社会の利益・公益性の観点において極めて重要で、その優れた人材発掘・育成・優遇策が何より最優先事項であることは揺るぎないものといえます。(シンガポールという国を見ても分かりますが、優れた人材を集めるには優れた待遇面が当然のことながら必要です。)
よって、政治分野に最も高給・高待遇の条件に設定し、その上で人材発掘の供給源として官僚専門職だけでなく、オンブズマン制度を介し、他のほぼ全分野から優秀な人材の発掘をさせることが非常に重要で必須な政策となって来ます。(詳しくはこちら)
そうすることによって、経済的利益追求のインセンティブ面から、総国民の関心を政治分野に集中させ、結果的に自決思想(詳しくはこちら)を育み易い環境を創り出すことも可能となります。
政策分野に最も高給・高待遇の条件に設定するための経済的費用対効果については、戦後民主改革の一部である農地改革、財閥解体がどれだけの経済的利益を生み出しているかを国際的な国家比較から考察すると、途轍もなくハイレベルなものであるということができます。
また、自決思想を育むことは民主主義から派生する結果的客観的評価システムの機能を高めることになり(詳しくはこちらをクリック)、それにより、安定・成熟した民主主義国家に導くことは、公益面において大きなプラスの政治的効果を生み出すことにも直結します。😄