ではルーター派諸国の改革について述べていきます。
ルーター派諸国の代表的欠点は格差の小ささです。
先天的・固定的・資本主義万能主義的な格差ではない、後天的・流動的・社会利益主義的格差は、グループ主義を排除するためには必要不可欠です。
ルーター派諸国の特徴である自決思想と平等思想、これらが相合わさることによって、グループ主義移行論的な手段を経ることなく、民主主義的基盤を形成することが可能となりました。
しかし、平等思想が機会の平等を乗り越えて、結果の平等まで追求するようになると、自決思想が深く根付いている限り共産主義化することはないにしても、国レベルでの優秀な人材の獲得競争では不利な状況下に追い込まれてしまいます。
北欧諸国に比較して格差があり、カルバン派諸国的要素も含有するドイツにしても、優秀な移民の獲得競争では常に資本主義万能主義的格差を追求するアメリカの後塵に位置しています。
国家レベルでも、社会利益主義的要素を持つ国家が、グループ主義的要素を持つ国家よりも国力が低ければ、世界の情勢は自然の流れのままにグループ主義的潮流に動かされてしまいます。
結果の平等を追求することは共産主義に近づくことであり、それはもうひとつのルーター派諸国の特徴である自決思想と対立することになります。
だからこそ、ルーター派諸国は格差が小さいながら、機会の平等を重視し、結果の平等に歯止めを掛けることによって、世界最上位の国際競争力を保ってきました。
しかし、世界の覇権国の影響力に対抗していく程の国力を得るレベルに達するには、優秀な人材獲得競争において、グループ主義的傾向のある国家に対して、勝ち抜いていけることが必須となります。
そのためには、格差においては、後天的・流動的・社会利益主義的なものを中核に、さらにもっと多く導入していかなければいけません。