歴史的に見て、マイノリティ、少数民族が活躍する国家、寛容の精神が根付いている国家は『最強国の条件(エイミー・チュア一著)』にも書かれていますが、成長し、繁栄して行く特性があります。
ここでは、本に書かれている『最強国は世界の優れた人材を受け入れることによって、覇権を成し遂げ、そして寛容すぎたが故に不寛容が生まれた結果、ほぼ例外なく最強国は衰退していく』という内容に関して、なぜそのような現象が起き、その現象を防ぐためにはどうすればいいのかについて考証していきます。
マイノリティの代表格としてはユダヤ人がいます。
彼らを多く取り入れ、吸収している国家程、確かに成長し、繁栄しています。
しかし、ある一定のラインを超えると上記下線部の内容を示す国家が出現してきます。
ワイマール共和国時代のドイツなどです。
比較的、その性質を示さないのが、近現代のイギリス・アメリカ、現代のシンガポールなどがあります。
この違いはどこにあるのか?
それは、結果的客観的評価システムが機能しているかどうかの点に見出すことができます。
ワイマール共和国時代のドイツなどは民主制度の枠組みの導入はされましたが、民主主義から派生する結果的客観的評価システムは導入されない状態で終わりました。
近現代のイギリス・アメリカは民主主義から派生する結果的客観的評価システムが、現代のシンガポールは公務員の賞与がGDPと連動する結果的客観的評価システムなどがあります。
社会利益的にフィードバック的改善作用がある結果的客観的評価システムがあるということは、少数民族であるがゆえに国に、公に寄与しようとする努力を正当・公平に、一時の主観・感情的要素に流されることなく、評価されやすくなることを意味します。
古代ローマ帝国においても、補助兵を25年間勤めればローマ市民権が与えられた結果的客観的評価システムが機能している内は寛容の精神は揺らぐことなく、パクス・ロマーナは保たれますが、アントニヌス勅令によりその機能が果たさなくなってから、不寛容の精神が蔓延し、ローマ帝国は衰退していきました。
よって、この結果的客観的評価システムの質・量(種類)ともに充実した制度を整備した国程、マイノリティ、少数民族が活躍する国家となり、ひいては国家全体的にも成長し、繁栄するということになります。