⑴最良の社会システムとは?

記事の目次

①最良の社会システムはあるのか?

最良のシステムの追求は基本、民主主義制度の追求にあるのでしょうか?

しかし、古代においては直接民主制など民主主義志向の強い民主国家を築き上げたアテナイは民主主義の欠点である衆愚政治やポピュリズムなどにより国力を低下させ、対極のシステム下にあるスパルタの軍門に下り、衰退しています。

中世においてはイギリスやアメリカより数百年先駆けて民主制連邦制を築いた黄金の自由期のポーランドは内外における多発する対立、紛争などによって専制国家時代より国力を低下させ、大洪水時代にそれぞれ専制国家であったプロイセン、ロシア、オーストリアによるポーランド分割などから一時期、存亡の憂き目に遭っています。

また近現代においてもゴルバチョフのペレストロイカさらに急進化したエリチィンにより民主化したロシアは共産独裁国家のソ連時代よりも急激に国力を低下させて再びプーチン政権の独裁指向の体制に回帰してしまっています。

では一人の指導者や君主による独裁形態が望ましいのでしょうか?

しかし優れた指導者や名君に恵まれることはまさに博打のようなもので、しかも代を重ねて名君は続くことは皆無であることは残念ながら歴史が証明してしまっています。

では対立するような格差をなくす平等性を追求すべきでしょうか?

しかしその要素を追加した狭義の社会主義、純粋的共産主義は中国の毛沢東時代やソ連や北朝鮮国家を見ても、対立・内紛が極めて多発しやすい制度であることはこれもまた残念ながら歴史が証明してしまっています。

ではどのようなシステム・制度を追求すべきなのでしょうか?

果たしてそのような追及すべきシステムはあるのでしょうか?

その答えとなるキーワードと言えるものは、古代中世においては中国に長期間にわたり必然的に通じていた百年単位における戦乱・内乱の消失から、近現代においては明るい北朝鮮と言われるシンガポールが独裁国家で小国でありながら、腐敗指数がアジア最良で国際競争力が世界最上位レベルに位置することの事由等から浮かび上がってきます 。 シンガポールの画像

 

キーワードは客観的評価システム

そのキーワードは客観的評価システムです。

客観的評価システムは大きく分けて二種類あります。

一つは条件的客観的評価システムともう一つは結果的客観的評価システムです。

条件的客観的評価システムとは、社会の利益を生み出すであろう知識経験などを評価するもので、選抜試験、資格試験などがこれにあたりごく普及されている一般的なものではありますが、あくまで社会の利益を生み出すであろうという予測でしかありません。

結果的客観的評価システムにおいては、失業率 、GNP など経済成長率、福祉充実度などがありますがこれらは直接社会の利益とリンクしていますが条件的評価システムと違い、あまりダイレクトに使われにくいものです。代表的なもので選挙における政権党の評価で、総括的に使われています 。

条件的客観的評価システムだけであると所詮社会の利益における予測評価であり、ほぼ一回しか行われないものでありますから一回クリアしたものの中でグループ主義的腐敗が進行してしまいます 。

これは条件的評価システムの代表的欠点としてあげられ、条件的評価システムの初歩的な科挙制度においては、一度その制度が確立てしまうとそれをクリアした者たちによる特権階級によってグループ主義が形成され社会の利益とかけ離れて制度が硬直化してしまい進歩しなくなってしまいました。

諸外国に大学制度に裏打ちされたメリットシステム(公務員選抜試験)など他の優れた制度が出てきてもなかなか質の低い科挙制度からの脱却は中国で起こらなかったのもそのためです。

大学制度に裏打ちされたメリットシステムにしても英国社数理などの科目によって学歴という特権階級を形成されてしまうともっと社会の利益と直結した分野での評価システムが 改善・構築されにくくなってしまいます。硬直化、クリアした人々によるグループ主義による癒着化、腐敗が大きな欠点になってしまいます。

結果的客観的評価システムの方の欠点は簡単に言うとダイレクトには使いにくいものということです。一部の分野は除いてはですが・・・

例えばプロ野球選手なんかでは、打者は打率、投手であれば防御率などはまさに結果の客観的評価でそれに合わせて報酬・評価が行われます。

しかし、社会の利益に直結している分野においてあまり使われにくいものとなっています。失業率、経済成長率、寝たきり率、平均寿命、健康寿命、福祉充実度、生活幸福度などの総合的指数などが官僚・政治家などの評価・報酬に使われてるなどというのはあまり聞いたことがありませんよね!

 その中でGNP 経済成長率が官僚などの賞与と連動しているシンガポールはまさに例外的存在といえます。

次回からは歴史的観点から客観的評価システムを考察していきます➡⑵古代中世の中国史における科挙制度の役割

    

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