右が新古典派の資本主義万能を中核とした保守層で、左がピケティなどの富の再分配をモットーとした平等志向の革新層です。
右の資本主義万能の方向性は大企業や財閥などが力を持ち過ぎることによって、政府が弱体化し、大企業などの富を第一とする影響下に置かれ、グループ主義が蔓延します。
大企業や財閥は形成途上の時期は成長のエンジンとしての役割を果たしますが、形成が なされ、経済を支配するようになると、国内市場を寡占化したり、技術を持った有望な中小企業を潰していくなど、資本主義の最大の利点である活発な自由競争を阻害し、既得権益・癒着・固定的特権階級が構築されます。
しかし、左のピケティなどの富の再分配をモットーとした平等志向もどう方便を尽くしたとしても結局は共産主義的(結果的)平等性に矛先をおいたものであり、結果的平等性は追及すればするほど、歴史的に見て対立・争いを生み出し、究極的に追及した制度(共産主義)においては、右の資本主義万能主義をはるかに超えるほどのグループ主義の蔓延、凄まじい内紛が例外なく生じています。
現代においては、この右左の不毛で出口のない議論、引っ張り合い・綱引きが永遠に連続しているような状態です。
外から見ると、どっちもどっち、五十歩百歩、両方ともにグループ主義・既得権益・癒着・固定的特権階級を増産させているように思えます。
ではどうすればいいのでしょうか?
その議題を追及する前に、平等・格差における概念を深く考察する必要があります。
平等や格差における概念は幅広いものがあり、機会の平等と結果の平等、後天的格差と先天的格差、流動的な格差と固定的な格差、社会利益主義的な格差と資本主義万能主義的な格差など様々あり、必ずしも格差が少なく、平等度合いが高いほど、グループ主義を阻害して、争いを少なくしてくれるわけではありません。
それぞれ前者の平等・格差はグループ主義を阻害して、争いを少なくする傾向にありますが、後者においては逆にグループ主義を助長してしまう傾向にあります。
機会の平等、つまりチャンスの平等の要素が薄ければ、より与えられている側が固定的な特権階級を形成し、余り与えられていない側との対立が、不公平性などから多発する傾向になります。
また、幅広い人材を活用できないことから、国力的にも低下してしまうことにもなります。
逆に、結果の平等の要素を強めてしまうと、共産主義的要素が強まり、客観的評価システムも機能低下し、グループ主義的対立・紛争が増加します。
それは共産主義政権を見ればわかります。
特に、共産主義的純度の高いもの程、政権における内紛は著しくなっています。
先天的・固定的な格差は、機会の平等性に反し、幅広い人材供給という面でも望ましくありません。
逆に、後天的・流動的格差は、客観的評価システム機能させるために必須のものであり、その要素が薄いことは客観的評価システムの機能を低下させることに繋がります。
資本主義万能主義的な格差は、大企業や財閥などが力を持ち過ぎることによって、政府が弱体化し、大企業などの富を第一とする影響下に置かれ、客観的評価システム機能が低下し、グループ主義が蔓延り、帝国主義・新植民地主義的戦争や紛争、環境破壊などを生み出します。
逆に、社会利益主義的な格差は、㊀マクロ的・国レベルの観点で見ても、資本主義万能主義的格差によって超大国になった国々を抑え、世界の主導権を握るためにも必要不可欠なものと言え、㊁ミクロ的・個レベルの観点で見ても、報われにくく、迫害される場合が多い社会利益主義者を保護するためにも同様に必須のものとなります。
社会利益主義的な格差の㊀マクロ的・国レベルの観点について詳しく考証していきます。
強力なひとつだけの世界政府を樹立してしまうと、他の政府との比較しての客観的評価やベンチマーキング的手法が取りにくいことから、緩やかな世界政府や国際機関の下、多数の国家が存在することが望ましい形態となります。
その中で、経済的・科学技術的に国力が向上していく国々が主導権を握り、他国もそれら国々を当然ながら見習う傾向になります。
北欧諸国の様に、難民問題や環境問題などにおいて社会利益主義的政策をとる国家は、世界的な報酬や支援を客観的評価システム下で国連などの国際機関を媒介してされなければ、国力的に大きな逆作用の不利益を受けてしまいます。
実際的に、スウェーデンをはじめとする北欧諸国は治安悪化や財政赤字、犯罪率の増加の問題等で大きく国力を低下させています。
一方、自国の利益を追求する資本主義万能主義的・新植民地主義的な国により世界的主導権を握られると、他国もそれらに強く誘導されてしまい、それらの負の要素が、世界的危機をいずれは限界レベルまで蓄積させてしまうリスクが高くなってしまいます。
つまり、社会利益主義的な行為をした北欧諸国に、他国と格差をつけた報酬や優遇を与えることによって、アメリカや中国に負けない国力の向上を維持させ、世界的主導権を握らせて行くことは、未来の破滅的危機を未然に回避することに繋がります 。
この㊀マクロ的、国レベルにおける社会利益主義的な格差は、自国の利益だけを追求するグループ主義的な行為を抑制し、世界的利益の保持にも大きく寄与して行くことになります。
次に、社会利益主義的な格差を㊁ミクロ的・個レベルの観点から詳しく見ていきます。
社会の利益主義者は、その行為に対する利益的回収が難しく、強固なグループ主義と対峙する傾向にあることから、社会的にも経済的にも精神的にも身体的にも追い込まれ、疲労し、苦境に立たされることが必然的に多くなります。
よって、マクロ的な国レベルと同様に、社会利益主義的格差を客観的評価システム下で適切に付与していかないと社会の利益主義者が力を持ち、主導権を発揮できるのは非常に困難になります。
巨大な混乱期や危機時のみ活躍し、彼らの働きによってもたらされた安定期には、グループ主義者により追いやられる、正に使い捨ての奴隷的待遇になりかねない環境と言えます。
グループ主義者に主導権を握らせずに、社会利益主義者が奴隷的環境から脱し、主導権を獲得するためには、社会利益主義的格差は極めて重要な役割を担っています。
スウェーデンが以前行った難民政策は社会利益的に極めて素晴らしいものでした。
しかし、それを一国単位でするのは極めて負担のあるもので、それによってスウェーデンは大きな国力低下を起こします。
本来ならば、これらの問題は世界的に対処しなければならない事項で、国際機関が全面的に受け持つか、受け入れた国に対して支援なり、報酬を与えないといけません。
つまり、公益に沿った格差には、後天的な格差、流動的な格差、社会利益主義的な格差などがあり、そして、公益を阻害する格差には、先天的格差、固定的格差、資本主義万能主義的格差などがあるということになります。
よって追及すべきことは後天的な格差、流動的な格差、社会利益主義的な格差を広げ、先天的格差、固定的格差、資本主義万能主義的格差を狭めることにあるといえます。
これらは公益に沿った客観的評価システムが正常に機能する為に必要不可欠な要素です。
客観的評価システムが正常に機能することでグループ主義を制御し、対立・争いを防ぐ役割を果たしてくれます。(詳しくはこちらをクリック)
平等主義では、客観的評価システムが正常に機能することまず無理です。
グループ主義を制御し、対立・争いを防ぐ役割を果たしてくれる客観的評価システムが十分に機能するためには格差はあればあるだけあった方が良いのです。
しかし、それは緑色の格差であって、決して赤色の格差ではありません。
今の議論は平等主義か赤色の格差を構築するかの究極の二択となっており、地方自治体の首長選挙の相乗り前職か共産党候補の二択と同様に選ぶ選択肢がなさすぎる状態です。
この状態でいくら議論をしても、建設的な答えに辿り着かずに、不毛で出口のない迷路・ダンジョンを永遠に皆がゾンビのように彷徨うだけのような気がします・・・