孫 正義とラリー・ペイジ両方とも偉大な経営者ですが、その偉大な要素の性質は大きく違います。
孫正義氏は高校を中退し、16歳で単身アメリカに渡り、 1980年カリフォルニア大学バークレー校を卒業。
大学在学中に音声装置付きの多国語翻訳機の試作機を開発して、シャープに1億円で買い取ってもらい、その資金でユニソンワールドという企業を立ち上げ、帰国後は自身の経営していた米国企業を売却した資金から事業を計画し、日本ソフトバンクを設立。
ソフトウェアの卸売り業や出版業などを始めたましたが、重い慢性肝炎にかかり、入退院をくりかえして苦しい時期を送ります。
しかし、その期間は読書に没頭して、病床を格好の充電期間に変えて、「電話をする際に自動的に一番安い回線を選ぶ装置」(NCCBOX)を発明し、これによって逆に20億円を稼ぐなどの独特の誰もマネのできないような道筋を歩ん来た人物です。
意志力・信念などの強力な主観力で逆境や壁を乗り越え、ぶち破って来たといえます。
それに対して、ラリー・ペイジ氏は、父親がミシガン大学の人工知能の教授、母はデータベースのコンサルティングとプログラミングの教師をしており、自宅にはコンピューターとテック系の雑誌で溢れた環境で育ちました。
5歳で初めてパソコンを触り、6歳の時にはお気に入りの絵本をプログラミングして遊んでいたというから驚きです。
小学校に上がった時には、夏休みの宿題をパソコンで処理し、当時はハイテクだったプリンターでプリントして提出するなど、教員達を驚かせていました。
ラリー・ペイジ氏は、まさにITの申し子ともいえます。
客観的に見て、あるべき環境で、あるべき能力を与えられて生み出されたともいえます。
孫正義氏は主観性の要素、ラリー・ペイジ氏は客観性の要素が強いと思われます。
それを証明するように、一貫してソフトバンクは孫正義氏が舵取りを担っており、後継者の模索もされているようですがなかなか適任のマッチングが困難なようです。
それに対して、Googleは一時期はエリック・シュミット氏にCEOを任せ、その後自らがCEOになるも共同創業者のセルゲイ・ブリン氏も加えた三頭体制を維持し、Googleを発展させ、共同創業者セルゲイ・ブリン氏ともに引退してもGoogleの経営が大きく揺らぐことなく、継続されているのを見ても、客観的システム的なものがしっかり構築されているのが分かります。(詳しくはこちら)
組織の規模が大きくなる程、主観力の優位性は客観力・システム力に対して落ちてきます。
やはり個の能力には限界があります。(詳しくはこちら)
また、組織は規模が大きくなる程、グループ主義を制御するのが困難になります。(詳しくはこちら)
今現在、Googleが好調でありながら、ソフトバンクが苦境にあるのもその長所の要素の由来によるものと思われます。