公益に沿った官僚に対する優遇制度を考えるにおいてヒントになるのは、シンガポールの存在です。
シンガポールは戦後、隣国マレーシアのルック・イースト政策に先駆けて、日本をモデルに、日本が官僚主導の開発主義体制から日本株式会社と呼ばれたように、国というより、一つの株式会社と呼ばれるような産業の隅々まで、国・官僚のコントロールが行き届いた形態を創り上げました。
日本が、戦後の民主改革の恩恵により、一時期的にせよ多くのグループ主義が解除されることによって高度経済成長し、世界第二の経済大国になったものの、グループ主義の再構築によって、世界最大の政府債務残高(対GDP比)を保有するようになってしまったのに対し、同形態に思えるシンガポールは、健全に成長を続け、国際競争力・国際格付、腐敗指数など全て世界の最良・最上位のレベルを保持し続けています。
両方、官僚主導とする一つの株式会社と称される形態であるのに、一方は腐敗・癒着による無駄遣いによる借金大国になり、一方は官僚機構に関する調査でアジアで最も官僚の弊害が少ない評価を受ける違いはどこから来るのか?
それは、官僚の報酬体系から読み解くことができます。
日本においては天下りという非公式で、癒着性の高い、加えて上司や政官財のグループ主義などの主観的裁量の影響を受けるものを主体としているのに対して、シンガポールでは官僚の報酬はGDP成長率という客観的指標と連動し、国が成長すると報酬が増え、停滞すると報酬が下がります。
二十世紀末に一人辺り国民所得がかっての宗主国イギリスを抜いた時、政府は閣僚と高級官僚の給与を大幅に引き上げて、その労に報いました。
この結果的客観的評価システムによって、シンガポールの官僚は企業の業績を上げ、国を成長させることに全力を傾けます。
一方では天下りのなどのシステムによって、日本の官僚は公益に相反するグループ主義に邁進することになるのです。
では、日本において公的利益とこの官僚組織のグループ主義的利益を同化させる方法を自分なりに考えていきます。
先ず、徹底的なエリート行政官養成機関を設けます。(独裁国家の唯一の優位点に対抗するため➡詳しくはこちら)
ロースクールの様なポリティカルスクールを設け、国家一種のキャリア試験の受験資格とし、スクールでは職業訓練大学的要素や現場の実習も多く取り入れ、卒業後は直ぐに即戦力となれるような人材に育てます。
知識試験において一番に注意しなければならないことは試験官や採点する者の裁量が影響しにくい、癒着などが起こりにくい形にしなければなりません。
結果はTOFEL、TOEACのように数値化し、それのよって、地方の市町村単位のの助役などの権限のある役職のリクルートを受けます。
もしくは公募という形を採り年収などは各市町村の采配に任せますが、任期期間の後の結果評価(任官前後における社会の利益を数値化した失業率・寝たきり率・独自歳入増減率など)の基準が次の任官地へのリクルーターや公募に影響し、高評価の方がより高収入で大都市や都道府県の役職に就くことになります。
また、ポリティカルスクールや国家一種のキャリア試験を管轄する機関も育った行政官の結果評価によって、補助金も含めて報酬が大きく変動する様にリンクさせます。
並行して、行政の業績評価を進めて(詳しくはこちら)、官僚間収入格差を広げ、卒業生の納税額の総計が大きければ、機関や大学は国から補助金や報酬などを、総計に見合って受け取り、小さければ減額されてしまいます。
もちろん、官僚を選出する試験や大学などを統括する機関である文部科学省の官僚組織も、卒業生の国への納税額などを基準とした結果的客観的評価システムのコントロールを受けることになります。
どうせ優遇されるのなら、天下りの様に退職後ではなく、彼らが最も活躍し、公益を生み出してるリアルタイムですべきであり、そうすることによって国民も彼らを真に尊敬し、憧れ、全分野・全世代の人々がその職業を目指すようになります。(詳しくはこちらをクリック)
しいては、それが政策分野における国民の関心を飛躍的に向上させ、自決思想(詳しくはこちらをクリック)の定着させて民主主義指数の高い国家を構築できるようにもなります。