小さいながら、組織の経営者になってからは十年以上経ちますが、開業間近を除けば売り上げ・利益ともほぼ横ばい状態が続いていました。

それまでの評価システムはコンピテンシー評価やKPIなどの主観的・客観的評価をごっちゃにしたようなわかりにくく、かつ自分自身の主観的要素が割と強く反映される(もしくは反映している様にスタッフに見える)ものでした。

長年に渡り、中核的存在であったスタッフが待遇面においての不満が主で辞められたのをきっかけに自分自身の組織の評価システムの根本的改革を決意しました。

今まで、このブログでは社会全体が幸福となるシステムとして客観的評価システムの追及をしてきましたが、それを自らのテリトリーで実践することは余り考えていませんでした。

マクロの社会全体のシステムが歪んでいる状態で、ミクロ的な範囲で理想的なシステムを構築することは現実的に反作用を強く受けて潰れるだけで、不可能と考えていたからです。

しかし、この社会の現状の状態でできるだけ、ミクロ分野においてでも現実的に客観的評価システムを追及し、皆が実感できる成果を出さなければ、このプログでの客観的評価システムの追及は机上の空論に永遠に止まるのではないかとの恐れ・不安もあり、自らの人事的経営問題も相まって、自らの経営する組織でも客観的評価システムの追及実践することを決めました。

マクロ的環境に大きく制限・影響されることは致し方のないことなので、部分的にわかりやすい要素だけを現実的流れに沿って取り入れるように心掛けました。

先ず、現在の評価システムの分かりにくい(スタッフから見て)主観的な要素であるコンピテンシー評価はほぼ取り除き、補足的に添加していく形にしました。

客観的指標のKPIを中心に展開していく形に変化させましたが、その中でも現実的に皆の待遇面の向上に直結しやすい指標(売り上げ、仕入れ原価率)などを中心にしました。

今までは客観的指標のKPIでも余り利益と直結しにくい、理想主義的な(社会利益に沿った)ものも複数多く入れていました。

それらの大半を削り、待遇面の向上に直結しやすい指標(特に賞与に対してはほぼ8割が売り上げによって決定させました)を前面に出しました。

これは、シンガポールやキーエンスでの評価システムを主として参考にしました。

 

シンガポールは戦後、隣国マレーシアのルック・イースト政策に先駆けて、日本をモデルに、日本が官僚主導の開発主義体制から日本株式会社と呼ばれたように、国というより、一つの株式会社と呼ばれるような産業の隅々まで、国・官僚のコントロールが行き届いた形態を創り上げました。

日本が、戦後の民主改革の恩恵により、一時期的にせよ多くのグループ主義が解除されることによって高度経済成長し、世界第二の経済大国になったものの、グループ主義の再構築によって、世界最大の政府債務残高(対GDP比)を保有するようになってしまったのに対し、同形態に思えるシンガポールは、健全に成長を続け、国際競争力・国際格付、腐敗指数など全て世界の最良・最上位のレベルを保持し続けています。

両方、官僚主導とする一つの株式会社と称される形態であるのに、一方は腐敗・癒着による無駄遣いによる借金大国になり、一方は官僚機構に関する調査でアジアで最も官僚の弊害が少ない評価を受ける違いはどこから来るのか?

それは、官僚の報酬体系から読み解くことができます。

日本においては天下りという非公式で、癒着性の高い、加えて上司や政官財のグループ主義などの主観的裁量の影響を受けるものを主体としているのに対して、シンガポールでは官僚の報酬はGDP(企業で言えば売り上げ?)成長率という客観的指標と連動し、国が成長すると報酬が増え、停滞すると報酬が下がります。

二十世紀末に一人辺り国民所得がかっての宗主国イギリスを抜いた時、政府は閣僚と高級官僚の給与を大幅に引き上げて、その労に報いました。

この結果的客観的評価システムによって、シンガポールの官僚は企業の業績を上げ、国を成長させることに全力を傾けます。成長の画像

一方では天下りのなどのシステムによって、日本の官僚は公益に相反するグループ主義に邁進することになるのです。天下りの画像

しかし、失われた30年といわれる経済停滞の日本でも順調に成長している企業があります。

日本において急成長していき、株価総額が日本で4位まで上り詰めたキーエンスでは、このコロナ危機でもほとんど株価が下がらず、平均給与も日本一位(もしくは最上位レベル)にありますが、客観的評価システムという観点において優れた人事制度を採用し、大きく成功している企業でもあります。

工場の自動化に不可欠なセンサー機器や画像処理機器などの開発から販売までを手がける。一般消費者との接点がないBtoBビジネスのため、知名度はそれほど高くありませんが、順調に成長を遂げています。

キーエンスでは、基本給を基準とした賞与とは別に、連結営業利益の一定割合を社員に支給する業績連動賞与の制度があることも、年収が高い理由です。

「業績連動型賞与制度」は、業績に対する従業員意識の向上、業績に応じた人件費の適正化、賞与決定プロセスの明確化・透明化などを目的として、導入されてます。

予め定められたルールや算定式に基づき、成果に応じて賞与が得られるので従業員にとってはわかりやすく、納得しやすい制度でしょう。そもそも、個人の成績だけでなく、会社全体の業績によるものが大きいので、経営参画意識を高める効果もあり、導入している企業も多くあります。

しかし、特筆すべきことはその度合と額です。
営業利益の10%が新卒社員を含む全社員に業績賞与として社員に還元され、分配されます(社員の頭数で割る)。

賞与だけで一千万円以上となる時も数多くあります。

これは正にシンガポールの官僚の給与と GDP と連動している結果的客観的評価システム(詳しくはこちら)と極めて類似しています。

自分自身の組織にもこの結果的客観的評価システムとほぼ類似したものを賞与・昇給に導入しました。

その結果、売上は5割増し、利益は倍近くと急激に上昇する状態になっています。

理想主義的な(社会利益に沿った)ものも並行して向上するようなシステムに工夫をし、スタッフの待遇面もアップし続けるWinWinの状態になんとか今のところなっていますが、正直常に精神的にはいっぱいいっぱいの状態です。

常に売り上げや利益を社会利益に沿って、上げ続けないといけないからです。

マクロ的な制約の中でミクロ的な理想を追及するには、マクロ的な整備も大きく影響します。

この経営的方向性が今後上手く行くかは、極めて未知の世界ですが、なんとか試行錯誤で追及していきたいと思っています。

 

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