日本においてはなかなかアメリカやドイツなどと違い、ベンチャーや中小企業が活躍するということが残念ながら余りありません。

(本来ならば、ベンチャーや中小企業が活躍し、日本を支える企業となるべきなのですが・・・)→詳しくはこちら

仕方がないので、大企業その中でも株価総額日本トップ5の企業から考察していきます。

先ず、1位のトヨタから見ていきます。

現在では日本を代表する大企業ですが、電気自動車やAIの進歩とともに、トヨタに限らずに世界の自動車メーカーの経営環境は厳しい未来を免れることができないと言われています。

次に2位のソフトバンクですが、皆さんご承知の方も多いと思いますが、本業ではともかく投資による損失でかなりの苦境に立たされています。

3位、6位のNTTグループですが、その強みは国営企業由来の既得権益に支えられている要素が濃いため、日本を支えるというイメージとは少しニュアンスが違う気がします。

 

4位はキーエンスです。

このコロナ危機でもほとんど株価が下がらず、平均給与も日本一位(もしくは最上位レベル)にあります。

客観的評価システムという観点において優れた人事制度を採用し、大きく成功している企業でもあります。

工場の自動化に不可欠なセンサー機器や画像処理機器などの開発から販売までを手がける。一般消費者との接点がないBtoBビジネスのため、知名度はそれほど高くありませんが、順調に成長を遂げています。

キーエンスでは、基本給を基準とした賞与とは別に、連結営業利益の一定割合を社員に支給する業績連動賞与の制度があることも、年収が高い理由です。

「業績連動型賞与制度」は、業績に対する従業員意識の向上、業績に応じた人件費の適正化、賞与決定プロセスの明確化・透明化などを目的として、導入されてます。

予め定められたルールや算定式に基づき、成果に応じて賞与が得られるので従業員にとってはわかりやすく、納得しやすい制度でしょう。そもそも、個人の成績だけでなく、会社全体の業績によるものが大きいので、経営参画意識を高める効果もあり、導入している企業も多くあります。

しかし、特筆すべきことはその度合と額です。
営業利益の10%が新卒社員を含む全社員に業績賞与として社員に還元され、分配されます(社員の頭数で割る)。

賞与だけで一千万円以上となる時も数多くあります。

これは正にシンガポールの官僚の給与と GDP と連動している結果的客観的評価システム(詳しくはこちら)と極めて類似しています。

また、後々、出世した人の共通点を探って採用活動に活かすために、採用面接でのやりとりの映像が録画され、分析対象になります。

5位はソニーです。

個人主体の異動制度「自分のキャリアは自分で築く」考え方が文化として根付くソニーでは1966年より、上司の許可を得ずに個人が社内求人に応募できる「社内募集制度」(新しい挑戦をしたいという個人意志で自ら手を挙げ、希望する部署やポストに応募できる制度)を導入しています。

制度開始以来、本制度による異動者は、累計で7000人を超え、ソニーにとって、主体的なキャリア形成の上で欠かすことができない制度となっています。
さらに、ソニーが電機業界で「一人負け」と言われ、上場以来初の無配に陥った2015年に、新しく導入したのが「ジョブグレード制度」と
従来の社内公募を維持しながら、新たに3つの制度を導入しました。

ハイパフォーマーを対象とした「FA制度」、社内兼業を可能にした「キャリアプラス」、異動により新しい経験を積みたい場合、上司と相談の上、登録できる「キャリア登録制度」です。

いずれも求人ありきではなく、個人の意思をベースに、本人が主体的に職場を異動しキャリア構築できる点が、社内募集制度とは大きく違います。

「FA制度」は仕事を通じて高評価を獲得した社員に対して、フリーエージェント権が与えられる制度で、2015年に制度が開始してから、1,000名以上 がFA権を付与されています。

社内募集制度は異動することが条件ですが、今の職場に籍を置いたまま、新しい仕事に挑戦したい人もいます。

そんな社員が手を挙げやすいのが「キャリアプラス」制度です。

ある部門が、他の部門にいるベテランの力を一時的に借りたい場合も好都合な制度で、通常業務の2割から3割を兼業の仕事に充てることを想定しています。

3つのなかで対象層の裾野が最も広い「キャリア登録制度」は、上司の許可は必要ですが、異動で新しい経験を積んでみたい人なら、誰でも申し込めます。社内の人材データベースに登録してもらい、全社のマネジメントで共有。キャリア構築に関する個人の希望を可視化すると同時に、マネジャー側が異動候補者のプールを見ることもできます。

これらの制度はソニーという企業環境内で、優秀な人材が活躍するに際し、客観的公平性・機会の平等性を保証する為に、大きな役割を果たしているといえます。

逆に、優秀な人材が活躍するに際し、主観的裁量に委ねられている例としては、日亜化学工業で青色発光ダイオード(LED)を発明したノーベル賞受賞者の中村修二氏が中村氏が日亜化学の先代社長の研究支援のおかげで成果をだせた一方で、社長が交代した結果、社内の批判にさらされ、研究ができなくなった中村氏は退社に追い込まれます。

同様の例として、東芝でフラッシュメモリの発明をした舛岡 富士雄氏が、研究所の武石喜幸所長が防御壁となって舛岡氏のチームを擁護し、後ろ盾をしたことによって成果を出せた一方で、擁護者であった武石氏が急逝された後は部下もなく予算もつかない技監に昇進させられ、R&Dができなくなった結果、東芝を退職せざる得なくなったことなどが挙げられます。

二つの例が日本企業の典型的な企業環境といえます。

その中でソニーの企業環境は優秀な人材が活躍するにおいてかなり優位な状況といえます。

優秀な人材のストック性という点ではおそらく、日本企業の名門中の名門といわれ、戦後経団連会長を輩出してきた東芝が勝ると思われます。

しかし、システム面においてのこの差が同じ電機業界でありながら、現在の苦境と縮小を続ける東芝と2015年の苦境から復活し、最高益を出したソニーとの巨大な格差を生じさせたといえます。

企業、国どんな組織においても客観性や客観的評価システムの観点における質の高さの必要性の重要度が実感できる事柄です。

4位と5位の企業の存在を見ても、これからの日本を支える企業は、客観性や客観的評価システムの観点における質の高さを備えた企業であると断言できます。

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