財政赤字は公務員数の多さや大きな政府が原因とする考え方は、資本主義万能・自由放任主義・小さな政府を最良とする『国富論』著者のアダム・スミス以来の考え方です。
今、現在においてもこの考え方は強く根付いているのではないでしょうか?
しかし、イギリスにおけるサッチャーの大改革では、固有企業を民営化し、減税や規制緩和を行い、市場原理・利潤原理を取り入れて、経済の再建を目指しましたが、不況は改善されず、失業者数はむしろ増加し、財政支出も減りませんでした。(詳しくはこちら)
同様に、アメリカにおいては、自由放任主義・小さな政府を指向したアダム・スミス的先祖返りの政策を選択したレーガン、ブッシュ政権も莫大な財政赤字と貿易赤字が併存した双子の赤字に苦しみます。(詳しくはこちら)
両国とも、これらの苦境に対して改善の印を示すようになったのは、数値指標による業績管理という結果的客観的評価システムの導入がなされてからです。(イギリスはエージェンシー制度、アメリカはNPR 、国家業績評価)
また、大きな政府と言われていても、民主主義から派生した結果的客観的評価システムが正常に機能している北欧諸国では財政赤字の比率は他国と比べると極めて少ないものとなっています。(詳しくはこちら)
財政赤字の問題解決を考えるにあたって、先ず、ピックアップすべきことは公務員数の多さや大きな政府・小さな政府ではなく、フィードバック的改善作用を持つ結果的客観的評価システムがどれだけ正常に適切に質・量(種類)ともに機能しているかという点にあると思います。