先ず重要なことは、報酬が少なければ、他の要素、アメリカで言うとロビー活動・猟官制、中国で言うと官僚腐敗・癒着のグループ主義の引力に負けてしまいます。
つまり、結果的客観的評価システムである行政の業績評価である GPRAやPARTが、21世紀初頭のアメリカにおいて、余り活用されず、業績評価の中心的役割を担う GAOも ロビー活動や猟官制が生み出すグループ主義に影響を受けた議会などによって、チェイニー副大統領提訴問題の時に、掣肘を受けたり 、GAO 自体の人員や予算の削減の圧力によって無力化されてしまったようにです。
同様に、結果的客観的評価システムである GDP と行政幹部の賞与等と連動したシンガポール発祥のシステムが、世界に類を見ない高報酬設定下での シンガポールではく、不正・癒着が少なく、健全に機能しているのに対し、世界に類を見ない低報酬設定下での中国では 不正や癒着が大きく介入することによって、GDP を水増ししたり、乱開発など不健全に機能し、長期的には逆効果に作用してしまいます。
よって、結果的客観的評価システムの報酬はグループ主義の引力やベネフィットを追い出すインセンティブを持つレベルであることが必要不可欠といえます。
次に重要なことは一方向だけの評価ではなく、逆の方向性からの360度的評価も不可欠ということです。
一方向だけの評価というのは、主に上から下の支配的管理・評価で、大学においては教授から学生に対する評価、国においては政府から国民に対する法律を基準とする管理等です。
これを逆の方向性からの360度的評価としては、下から上のフィードバック的評価になる学生から教授に対する評価や国民から政府に対する評価つまり民主主義から派生した結果的客観的評価(詳しくはこちらをクリック)等があります。
しかし、360 度的評価の場合であっても、それが主観的判断に委ねられている時は、その評価をする人々の人数が少数であったり、範囲が偏っていると談合的不正・癒着が生じるリスクが高くなります。
実際、会社の部や課等の限定下での360度評価を行うと、上司と部下で談合的馴れ合いが多発したり、選挙では低投票率が常態化している環境下では、癒着が蔓延ってしまう傾向にあります。
よって、極力評価をする人数を多数にしたり、客観的基準を介入する必要性があります。
つまり、教授に対する学生の評価を例にすると、複数年にわたる卒業生も含めたものにしたり、実際の卒業生の社会における貢献度を数値化・客観基準化したものを加えたり、大学外部の評価になる学部・学科別に全国共通試験等を実施することによって、補正することが不可欠になってくるということです。
最後に誰もがオープンにチェック管理でき、主観性の要素を極力排除し、グループ主義による変質が起こりにくい形態にするという点も重要です。
評価の指標をイギリスのエージェンシー 制度・ベストバリュー制度やアメリカの GPRA・PART のように余りに細かく、多数に設定してしまうと、もちろんそれが管理チェックできるのであれば望ましいかもしれませんが、管理費用的にも限界があるために事実上チェック不十分であったり、アウトカムベースでなくプロセス重視の業績指標が主流になってしまい、主観性・グループ主義の介入を防ぐことが困難になってしまうリスクが高くなります。
よって、結果的客観的評価システムにおける業績指標は、経済成長率・失業率・財政赤字比率・排出 co2量など社会利益に総括してリンクしている指標を評価報酬の主流指標とし、それらの主流指標の管理チェックに客観性のあるダブルチェック・トリプルチェック等集中を行い、細分化された指標に関しては地域的・地方分権的管理を委任された地方行政官が自らの行政評価を主流指標によりなされる中で、業務をさらにミクロ的に委任する際に、委任先の評価をするための指標として当行政官の裁量で使われるべきです。
もちろん、それらの主観的裁量の可否は主流指標によって行われる結果的客観的評価システムによって是正されることになります。
また、地方行政官の選出に関しても、第3段階目の条件的評価システム(詳しくはこちらをクリック)を深く関与させ、その条件的評価システムを裏打ちする教育機関や管理・選抜・評価を行う試験実地センターもしくはそれらを総合的に統括された組織・団体も行政官の社会における貢献度指標の統計によって、結果的客観的評価システムのフィードバックを受ける様にします。
この様に、主流指標にチェック管理を集中させ、多種にわたる客観的評価システム(詳しくはこちらをクリック)を折り重ねて作用させることによって、主観性を客観性の管理下に置き、グループ主義の介入を徹底的に防御する形態にすることが、結果的客観的評価システムとってもそれによって補完される条件的客観的評価システム双方にとっても、社会利益の観点から見て望ましい高質性を保つことに繋がります。