裕福な家庭に生まれなければ、人はお金持ちになるためには普通・一般的には努力・労力・時間を犠牲にして達成していきます。
しかし、それによって得たお金は果たして必ずしもその犠牲にした努力・労力・時間に見合う以上の幸福を本人に与えているのでしょうか?
『お金は人を幸せにするのか?それとも不幸せにするのか?』の記事(詳しくはこちらをクリック)でも述べていますが、
お金を活用して人を幸福にするための大きな二つの要素としては
⑴社会利益・公益の貢献に比例する形で報酬として与えられているか?(giveの要素)
⑵報酬としてのお金が与えられた本人を額に比例して幸福にしているか?(useの要素)があります。
金銭的報酬を得るには時間・労力を必要とします。
下手をすると労力を集中し過ぎて健康を害してしまう場合もあります。
その報酬が、社会的貢献に見合って配当されなかったり、有意義に活用できないということは当然、相対的に不幸な状況を生み出すことを意味してきます。
お金は所詮道具です。
ひとえに人を幸せにするかどうかはその使い道にあるといえます。
そのネックには⑴⑵の要素とも客観的評価システムの整備にあると思われますが、現在の日本では残念ながら客観的評価システムの整備・機能が十分にされているとはとても言えない状態のため、両方とも圧倒的に達成不十分な状態といえます。
そうなると必然的に⑴の要素(giveの要素)が社会利益・公益の貢献に比例する形で報酬として与えられるのではなく、資本主義万能主義的格差(詳しくはこちらをクリック)を生み出す形で与えられていきます。
そういう環境下で報酬を得るということは当然ながら周囲の他の人々も資本主義万能主義的状況で報酬・利益を獲得していることになります。
そうすると、⑵の報酬としてのお金が与えられた本人を額に比例して幸福にしているか?(useの要素)も必然的に資本主義万能主義に大幅に歪められていきます。
つまり、いくら多額の報酬が与えられても、それを有意義に本人が自身の幸福のために使用できる環境でなければなりません。
健康のために、快適で安全な住居のために等人はさまざまな理由でその報酬のお金を利用して獲得しようとします。
しかし、適正なエビデンスに裏打ちされた客観的データーが付随せず、ただ主観的、繰り返し的インパクトの広告を主とする現在の商品全般における消費者の選択肢は、客観的判断基準がない場合の政治における衆愚政治と同様に狭められ、有益な選択が極めて難しくなります。
一つの例として投資信託という商品をピックアップしてみます。
投資信託には、アクティブファンドやインデックスファンドがあります。
アクティブファンドは株価指数などより高い運用成績をプロが目指すファンドです。
指標よりも高い成績を目指すため、積極的に運用されます。
インデックスファンドは株価指数などと同等の値動きを目指すファンドです。
インデックスファンドとの連動を目指しているので、受身的な運用になります。
一見するとプロが運用しているアクティブファンドの方が儲かりそうですが、実はインデックスファンドの方が運用成績は良いのが実情です。
なぜ、アクティブファンドの方が損する可能性が高いのでしょうか。アクティブファンドとは、株価指数などよりも高い運用成績をプロが指示をだして目指すファンドのことです。
株価指数などよりも高い運用成績を狙うことから、アクティブに運用されているため、アクティブ運用と呼ばれています。
アクティブ運用は株価指数よりも高い成績を狙うため、活発に取引されています。
活発に取り引きされているため、税金や手数料のコストがかかります。また、お宝銘柄を見つけるために投資家が多くの出張もするため、その分のコストもかかります。
インデックスファンドとは、連動を目指す株価などの指標と同様の動きを目指すファンドです。
株価指数などに連動するように運用するため、株価指数の組み入れ銘柄変わったら入れ替えるという方法での運用になります。受身的な運用です。
株式比率の組入れ比率も、インデックスへの影響を考えた数値になっています。
株価などの指数に連動するように運用するインデックスファンドは、アクティブファンドのように、取引が活発ではないので、その分税金や手数料がかかりません。
さらに、投資家の出張などもないため、その分のコストもかかりません。
よって、インデックスファンドはアクティブファンドと違い手数料が割安です。
その結果、アクティブファンドは株価の指標であるインデックスにボロ負けしています。
最近、インデックスファンドの人気が高まっている理由は、「アクティブファンドは、インデックスファンドに運用成績でなかなか勝てていない」ためです。
米国での研究では、米国株式の代表的な株価指数であるS&P500指数に対し、アクティブファンドは大体8割ぐらいは負けています。
さまざまな研究があり、計測期間により結果も異なりますが、概してアクティブファンドはインデックスファンドに勝てていません。
アクティブファンドが勝てない原因のひとつは、インデックスに勝つためにファンドマネージャーが一生懸命に銘柄を調査分析するために高くなってしまう運用に関わるコストです。
それまでの常識では、「S&P500に追従するだけで良いリターンを出せるはずがない」という考えが大勢を占めていました。しかし統計を取ると、実際には次のような結果になっていたのです。
なんと、年数が経過すればするほど、アクティブファンドはインデックスファンドに負けてしまうという現実が明らかになったのです。
つまり、投資関連で何千万円と年収を得ている人々の働きによる顧客に対しての成果が、実際的にはその報酬に見合う程には客観的に見ると、出ていないということになります。
また、保険会社で月収数千万に及ぶ高収入を得ている人の報酬が顧客の掛け金のかなりの割合から出ている現実があります。
それは言い換えると、その分同じ保証でも掛け金が高くなるか、同じ掛け金なら保証のレベルが下がることを自動的に意味して来ます。
人件費が余り掛からない共済の方が基本的・一般的には保険会社の商品に比べて割安・低コストでパフォーマンスの高い商品が提供されているのを見ても分かります。
保険会社の中でもネット専業の保険サービスも登場しており、人件費や家賃が浮くことから割安の保険料を提示する事業者が多くなっていますが、それも人件費を削減することから由来しています。
つまり、虚業的産業である金融系の分野においては、製造業やクリエイティブなサービスなどの実業的なものとは異なり、ある一定の収入のラインを超えてしまうと、顧客の利益と相反する現象が必然的に発生してしまうことになります。
近代のイギリスが資本主義万能主義的要素の強いジェントルマン資本主義の下で、実業の製造業などをおろそかにし、虚業的産業である金融系の分野に邁進したために、アメリカやドイツに国力において追い抜かれていったことを見ても、虚業的産業である金融系の分野が力を持ちすぎることは、国力を低下させます。
また、一国の国力だけの問題ではなく、資本主義万能主義的要素が強くなり、資本主義の欠点と言える恐慌・環境破壊・帝国主義や新植民地主義の流れをくむ紛争や戦争などの問題が世界的に発生しやすくなります。
イギリスが1870年代以降、急速に展開された帝国主義政策の主たる動機は、ジェントルマン資本主義の下での不労所得者・利子生活者階級の海外投資の安全を保障し、その利益を一層拡大することにありました。
現在でも、虚業的マネーゲームの弊害により、ITバブルの崩壊や、リーマンショックなど、幾度も恐慌が引き起こされています。
この様な資本主義万能主義的利益や格差をなくすにはどうすべきか?については別記事で詳しく考察していきます。➡(こちらをクリックしてください)